私は本当に恵まれた環境で野球ができたと思う。今でもそうだが。
高校時代も大学時代も、あれせいこれせいとか、やらねばシバくとかいう変な強制をされた事がなかった。もちろん思考、考え方もそうであった。
それはある意味、頼るもの・変な安堵感がないという事である。この人の言う事を聞いておけばそれでいい、というものが。当然、全体の行動指針や試合進行などは監督さんや幹部が決めたのを順守するが、そんなもの以外は、全て自分で考えて行動せねばならないのである。もちろん結果も全て決めたやつの自己責任となる。

なので、変な情報をそのまま信じなくなるのである。例えばアッパースイングはダメとか言われると、それをそのまま信じる事はなく、なんでダメなのかとまず思う。で、調べて色々自分でやってみる。自分でやってみるから、人によって「オレはこれが良い」「オレはこれよりこっちがいい」などと意見が割れる。でもそれは個々のプレースタイルになるので、そこは自由である。
我々の時代は、「水を飲むな」と言われていた。真夏のクソ暑い日でも、練習時にカラカラに干からびて死にそうになってもまだ走っていた。おかげで練習が終わるとたらふく水分を取り、メシが全く食えない日が続き、一気に10㎏くらい痩せる。高校時代まではそういうのが続いた。

しかし、大学に入って最初の夏合宿で、ゴミ箱用のポリバケツにまるで石油缶を2つくらいつなげたような氷柱をガサっと入れて、当時流行り出したポカリスエットの粉末と水を溢れる直前までドドドっと入れて、柄杓を2つ、というのがダッグアウトに置かれたのである。
「練習中は自由に飲んで良し。ただしみっともないから群がるなよ」
そんな事していいの?最初はなにか罪悪な事をしてる気になったが、先輩たちがバッティング練習の交代時などにガンガン飲むので、私も飲んでみた。
天国が口の中から腹に湧いたような気がした。
その晩、メシが食える食える。ビックリするくらい食える。体重減もなくなってしまった。
その瞬間、「水を飲むなはウソや」と悟った次第である。
そして「あらゆる常識、情報を疑え」とも。
今から見たら「当たり前やんけ」であろうが、その当時は画期的だったのではないだろうか。
でもそれは、当時の監督や幹部、マネージャーがシッカリ身体の事を勉強したからだ。

勉強して知識を得ると、ダマされにくくなる。勉強してないと簡単にダマされるのである。
大新聞だって大手企業だって、いや、公共機関でも政府でも、平気でウソを書く。
だからみなさん、しっかり勉強しましょう。ダマされたくなければね。